法律改正2024年(その5)

2024.04.1

法的支援

2024年に施行される事業者が知っておくべき法律改正情報について概説します。
1.労働条件の明示          9.電子帳簿保存法法
2.時間外労働の上限規制       10.不当景品類及び不当表示防止法
3.健康保険・厚生年金保険      11.意匠法
4.裁量労働制            12.商標法
5.障害者雇用率の引き上げ      13.不正競争防止法
6.障害者差別禁止法(以上前号まで) 14.不動産登記法
7.フリーランス保護新法       15. 民事訴訟法
8.労働安全衛生法          16.民法                   

7.フリーランス保護新法(2024年11月までに施行)
フリーランスと事業者間の取引の適正化等を図るため、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(「フリーランス保護法」)が成立しました。
①特定業務委託事業者(特定受託事業者に業務委託をする事業者であって、従業員を使用するもの)(2条6項)は、特定受託事業者(業務委託の相手方である事業者であって従業員を使用しないもの)(2条1項)に対し業務委託をした場合は、特定受託事業者の給付の内容、報酬の額、支払期日等を書面又は電磁的方法により明示しなければなりません。正当な理由により内容を定められない事項については、内容が定められた後直ちに明示しなければなりません(3条)。従業員を使用していない事業者が特定受託事業者に対し業務委託を行うときについても同様です。
②特定業務委託事業者は、特定受託事業者の給付を受領した日から60日以内(再委託の場合には、発注元から支払いを受ける期日から30日以内)の報酬支払期日を設定し、支払わなければなりません(4条1項、3項)。報酬支払日が定められていない場合は給付受領日が報酬支払期日とみなされ、上記に違反した報酬支払日が定められている場合は給付受領日から60日を経過した日が報酬支払期日とみなされます(4条2項)。
③特定業務委託事業者は、特定受託事業者との業務委託(政令で定める期間以上のもの)に関し、以下の(a)ないし(e)の行為をしてはならず、(f)(g)の行為によって特定受託事業者の利益を不当に害してはならないとされています(5条)。
(a)特定受託事業者の責めに帰すべき事由なく受領を拒否すること
(b)特定受託事業者の責めに帰すべき事由なく報酬を減額すること
(c)特定受託事業者の責めに帰すべき事由なく返品を行うこと
(d)通常相場に比べ著しく低い報酬の額を不当に定めること
(e)正当な理由なく自己の指定する物の購入・役務の利用を強制すること
(f)自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させること
(g)特定受託事業者の責めに帰すべき事由なく内容を変更させ、又はやり直させること
④特定業務委託事業者は、広告等により募集情報を提供するときは、虚偽の表示等をしてはならず、正確かつ最新の内容に保たなければならず(12条)、特定受託事業者が育児介護等と両立して業務委託(政令で定める期間以上のもの。以下「継続的業務委託」)に係る業務を行えるよう、申出に応じて必要な配慮をしなければならず(13条)、特定受託業務従事者に対するハラスメント行為に係る相談対応等必要な体制整備等の措置を講じなければならず(14条)、継続的業務委託を中途解除する場合等には、原則として、中途解除日等の30日前までに特定受託事業者に対し予告しなければならないとされています(16条)。
⑤公正取引委員会、中小企業庁長官又は厚生労働大臣は、特定業務委託事業者等に対し、違反行為について助言、指導、報告徴収・立入検査、勧告、公表、命令をすることができ、命令違反及び検査拒否等に対し、50万円以下の罰金(法人両罰規定あり)が科されます(8条、9条、11条、18条ないし20条、22条、24条、25条)。