法律改正2024年(その3)

2024.03.4

法的支援

2024年に施行される事業者が知っておくべき法律改正情報について概説します。
1.労働条件の明示          9.電子帳簿保存法法
2.時間外労働の上限規制       10.不当景品類及び不当表示防止法
3.健康保険・厚生年金保険(前号まで)11.意匠法
4.裁量労働制            12.商標法
5.障害者雇用率の引き上げ      13.不正競争防止法
6.障害者差別禁止法         14.不動産登記法
7.フリーランス保護新法       15. 民事訴訟法
8.労働安全衛生法          16.民法                   

4.裁量労働制の対象労働者の要件の追加(2024年4月1日施行)
①専門業務型裁量労働制の対象業務に「銀行又は証券会社における顧客の合併及び買収に関する調査又は分析及びこれに基づく合併及び買収に関する考案及び助言の業務(いわゆるM&Aアドバイザーの業務)」が追加されます(労働基準法38条の3第1項1号、労働基準法施行規則第24条の2の2第2項第6号、労働基準法施行規則第24条の2の2第2項第6号の規定に基づき厚生労働大臣の指定する業務(平成9年2月14日労働省告示第7号)8号)。
②専門型裁量労働制導入に際しては、労使協定で①制度の適用に当たって労働者本人の同意を得なければならないこと、②制度の適用に労働者が同意をしなかった場合に不利益な取扱いをしてはならないこと、③制度の適用に関する同意の撤回の手続及び④同意とその撤回に関する記録を保存することを定めて届け出ることが必要になります(労働基準法施行規則24条の2の2第3項1号、2号、4号ハ)。また、協定の有効期間中及び期間満了後5年間保存すべき労働者毎の記録に、「同意及び同意の撤回」が追加されます(労働基準法施行規則24条の2の2の2)。
③企画型裁量労働制導入に際しては、労使委員会決議で①制度の適用に関する同意の撤回の手続、②同意とその撤回に関する記録を保存することを定めること及び③評価制度及び賃金制度を変更する場合は労使委員会に説明することを決議することが必要になります(労働基準法施行規則24条の2の3第3項1号、4号ハ)。また、協定の有効期間中及び期間満了後5年間保存すべき労働者毎の記録に、「同意及び同意の撤回」が追加されます(労働基準法施行規則24条の2の3の2)。
④裁量労働制の実施に際しては、長時間労働の抑制や休日確保を図るための事業場の適用労働者全員を対象とする措置(①終業から始業までの一定時間以上の休息時間の確保(勤務間インターバル)、②深夜業(22時~5時)の回数を1か月で一定回数以内とする、③労働時間が一定時間を超えた場合の制度適用解除、④連続した年次有給休暇の取得)又は勤務状況や健康状態の改善を図るための個々の適用労働者の状況に応じて講ずる措置(⑤医師による面接指導、⑥代償休日・特別な休暇付与、⑦健康診断の実施、⑧心とからだの相談窓口の設置、⑨必要に応じた配置転換、⑩産業医等による助言・指導や保健指導)のいずれかを講ずることが適切(両方講ずることが望ましい)とされています。

5.障害者雇用率の引き上げ(2024年4月1日施行)
障害者雇用の法定雇用率が2.3%(43.5人以上)から2.5%(40.0人以上)に引き上げられます。さらに、2026年7月からは2.7%(37.5人以上)に引き上げられます(障害者の雇用の促進等に関する法律43条1項、障害者の雇用の促進等に関する法律施行令9条)。