法律改正2023年チェックリスト(その3)

2024.01.5

法的支援

2023年に施行された法律改正を簡単にまとめました。コンプライアンスの観点から、見落としがないかどうかを再度チェックしてください。
1.労働基準法
2.育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律
3.民法
4.不動産登記法
5.相続土地国庫帰属法
6.個人情報の保護に関する法律(以上前号まで)
7.消費者契約法
8.消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律
9.消費税法
10.企業内容の開示に関する内閣府令
11.景表法に基づく内閣府告示
12.特定商取引法

7.消費者契約法(2023年6月1日施行)
事業者が消費者契約締結の勧誘に際して困惑させることにより締結した消費者契約を消費者が取り消すことができる類型として、①勧誘することを告げずに退去困難な場所に同行して勧誘する場合、②威迫する言動を交えて消費者が勧誘を受ける場所から外部と連絡することを妨げる場合、③消費者契約の目的物の現状を変更して原状回復を著しく困難にする場合が追加されました(4条3項3号、4号、9号)。
事業者の債務不履行又は不法行為による損害賠償責任(故意重過失によるものを除く。)の一部を免除する条項が、「事業者の軽過失による行為にのみ適用される」ことを明らかにしていない場合は無効となりました(8条3項)。
事業者は、消費者契約の解除に伴う損害賠償の額の予定又は違約金を定める条項に基づいて損害賠償又は違約金の支払いを請求する場合において、消費者から説明を求められたときは、損害賠償の額の予定又は違約金の算定根拠の概要を説明するよう努める義務があります(9条2項)。また、適格消費者団体が損害賠償の額の予定又は違約金の合算額が平均的な損害額(9条1項1号)を超えると疑う相当な理由があると判断して説明を求めた場合は、事業者は、正当な理由がある場合を除き、算定根拠を説明するよう努める義務があります(12条の4)。
事業者の努力義務として、消費者契約締結を勧誘する際に「事業者が知ることができた・・消費者の年齢、心身の状態、知識及び経験」を総合的に考慮して情報提供すること(3条1項2号)、定型取引合意(民法548条の2第1項)に該当する消費者契約の締結を勧誘する際に(消費者が定型約款の内容を容易に知り得る状態に置く措置を講じている場合を除き)消費者が民法548条の3第1項に定める請求(定型約款の内容の表示請求)を行うために必要な情報を提供すること(3条1項3号)、消費者の求めに応じて、消費者の消費者契約に基づく解除権の行使に必要な情報を提供すること(3条1項4号)、適格消費者団体からの要請(不当条項(8条ないし10条)を含む契約条項の開示の要請(12条の3)、損害賠償の額の予定又は違約金の算定根拠の説明の要請(12条の4)、及び不当条項(8条ないし10条)を含む消費者契約締結の停止・予防に必要な事業者の講じた措置の開示の要請(12条の5))に応じることが定められました。