カーボンゼロⅣ・・・・・・エネルギー価格の上昇は追い風ですが(完)

2023.11.13

企業支援

前回の宿題のエネルギー価格の高騰ですが、実はロシアのウクライナ侵攻半年ぐらい前から始まっていました。もちろん、侵攻受け一時的により高騰したのは事実ですがその後落ち着いてもそれなりの水準は維持され、最近また高騰の兆しが出ています。エネルギー価格は高騰してもその価格が一般に反映されるには輸送・加工等によるタイムラグがあり、ガソリンでも3ヶ月程度、日本では電気・ガスに至っては半年程度かかります。よって、ウクライナ侵攻で高騰したと感じた高騰はそれ以前のもので、ウクライナ侵攻の影響は一時的で政府の補助金対策なので大部分は相殺されています。ですから、ウクライナ侵攻の影響は下支え要因とはなっていることは間違いありませんが、すべてではありませんので落ち着いてもエネルギー価格の高止まりは続いていますし、原油価格は史上最高値には届いていませんのでまだ値上がり余地があると考えた方がよいとも思います。ビジネスの世界でも、一般に統計やメディアに反映される前に事業に携わっている人であれば想定できる近未来があることがありますので、それには敏感である必要があります。
前回考えてみたように、カーボンゼロを実現していく中でも現在の生活水準、生活環境は大きく影響されたくないというのは本音のところだと思います。ただ、達成された社会として自然エネルギー(太陽光、風力、水力、地熱等)だけで現在の生活を維持していく社会の構築は可能かもしれませんが、そこにいくまでの過程では必ず歪みが発生し、そのコストを負担していくことが必要です。人類として今の生活を支えるのに、CO₂排出は大きいが安価な化石燃料を大量に使用してコストミニマムで構成されているのが現在社会の姿ですから、やむを得ないことです。最近大手スーパーでも、以前は野菜でさえ形の揃ったものしか見かけなかったのに、曲がったキュウリとか小さな人参とかがパック詰めされて売られているのを見るようにもなりました。コストがそのようなことだけで済めばいいですが、その間のエネルギー価格の上昇・高止まりは必至と考えた方がよいと思いますので、そこを覚悟していく必要があります。化石燃料への批判が強まり将来的な継続性に疑義があるということは、それに携わることは事業者としては避けるようになるのは当然です。その中で、供給量が減っていきますが必須のものであるほどそれに歩調を合わせて需要量を減らしていくのは並大抵ではありませんし、短期でより高い収益を上げない限り嫌われてまでその事業をやっていく価値はありませんので事業者は高価格での販売を目指さなくてはいけません。これは根源的・本質的なことですので、エネルギー価格の高止まりの払拭はしばらく期待できないと思います。ビジネスの世界でも、需要が減少していくものはすべて安くしか供給できないという意識を捨て、将来伸長が期待されない事業でも、代替が安易に可能でない限り適正な価格政策をとることにより相当期間高収益事業となる可能性もありますので、一度見直してみるのもいいかもしれません。
単なる感覚に囚われるのではなく、正確な情報とその分析により事業を進めていくのを是非お手伝いしたいと考えておりますので、よろしくお願いします。

<おまけ…ふるさと納税で、収入のある時に納税しよう>
10月から返礼品に関するルールが厳格化されましたが、ふるさと納税には、翌年6月以降に支払いとなる住民税はもちろん、確定申告による支払・還付となる所得税も税金は後払いになりがちの中、それを収入のある時に支払えるという利点がありますので皆さんも考慮してください。特に、収入が不安定な方、役職定年・再雇用・退職等により翌年から収入の減少が見込まれる方にお勧めです。