職業安定法改正(2022年10月1日施行)(その1)

2022.09.19

法的支援

求職者が安心して求職活動をできる環境の整備と、マッチング機能の質の向上を目的として、「求人等に関する情報の的確な表示の義務化」、「個人情報の取扱いに関するルールの整備」、「求人メディア等に関する届出制の創設」等の改正がおこなわれました。32条、32条の11及び附則28条は2022年3月31日から施行せれています。

1.新たな雇用仲介事業の法的な位置づけ
①募集情報等提供の定義の拡大
②募集情報等提供事業者の規制
③官民連携の相互協力(以上本号)
④特定募集情報等提供事業者の規制
2.求人メディア等が依拠すべきルールの整備
①求人等に関する情報の的確な表示
②改善命令等

1.新たな雇用仲介事業の法的な位置づけ
求職活動におけるインターネットの利用が拡大する中、就職・転職の主要なツールとなっている求人メディア等の幅広い雇用仲介事業を法的に位置づけ、ハローワーク等との相互の協力の対象に含めることとなりました。
①募集情報等提供の定義の拡大(4条6項)
新たな形態のサービスも含まれるよう「募集情報等提供」の定義が拡大されました。
・労働者の募集に関する情報を労働者になろうとする者に提供することを依頼する主体に、労働者の募集を行う者及び募集受託者のほか、職業紹介事業者、募集情報等提供事業者(4条6項)、特定地方公共団体(4条9項)及び労働者供給事業者(4条12項)(併せて「労働者の募集を行う者等」)が追加されました(施行規則4条1項)。また、労働者の募集を行う者等の依頼を受けて労働者の募集に関する情報を提供する相手方に、労働者になろうとする者のほか、他の職業紹介事業者等(併せて「労働者になろうとする者等」)が追加されました(4条6項1号)。
・労働者の募集に関する情報を労働者の募集を行う者又は募集受託者に提供することを依頼する主体に、労働者になろうとする者のほか、職業紹介事業者等が追加されました。また、労働者になろうとする者等の依頼を受けて労働者の募集に関する情報を提供する相手方に、労働者の募集を行う者及び募集受託者のほか、他の職業紹介事業者等が追加されました(4条6項3号)。
・以上のほか、「労働者の募集に関する情報を労働者になろうとする者の職業の選択を容易にすることを目的として収集し労働者になろうとする者等に提供すること」(4条6項2号)、「労働者の募集に関する情報を労働者の募集を行う者の必要とする労働力の確保を容易にすることを目的として収集し労働者の募集を行う者等に提供すること」(4条6項4号)も募集情報等提供の定義に追加されました。
以上により、求人情報・求職者に関する情報をクローrン具して提供することや他の求人メディアに掲載されている求人情報を転載することも募集情報等提供に含まれることになりました。
②募集情報等提供事業者の規制
・募集情報等提供事業者について、事業情報の公開義務(努力義務)、苦情処理及び必要な体制整備の義務、業務運営の改善向上を図るために必要な措置を講ずる義務(努力義務)が新設されました(43条の6,43条の7,43条の8、施行規則31条の4,31条の5)。
③官民連携の相互協力
労働力の需要供給の適正かつ円滑な調整を図るための雇用情報の充実、労働力の需要供給の調整に係る技術の向上等に関し相互に協力するよう努める主体として、職業安定機関、特定地方公共団体及び労働者供給事業者のほか、募集情報等提供事業者が追加されました(5条の2)。