職業安定法改正(2022年10月1日施行)(完)

2022.10.3

法的支援

求職者が安心して求職活動をできる環境の整備と、マッチング機能の質の向上を目的として、「求人等に関する情報の的確な表示の義務化」、「個人情報の取扱いに関するルールの整備」、「求人メディア等に関する届出制の創設」等の改正がおこなわれました。32条、32条の11及び附則28条は2022年3月31日から施行せれています。

1.新たな雇用仲介事業の法的な位置づけ
①募集情報等提供の定義の拡大
②募集情報等提供事業者の規制
③官民連携の相互協力(以上前号)
④特定募集情報等提供事業者の規制
2.求人メディア等が依拠すべきルールの整備
①求人等に関する情報の的確な表示
②改善命令等

1.新たな雇用仲介事業の法的な位置づけ
④特定募集情報等提供事業者の規制(4条7項、11項)
求職者に関する情報を収集する場合(求職者に会員登録を求める求人サービス、求職者のメールアドレスを収集して求人情報を掲載したメルマガを配信するサービス、求職者の閲覧履歴に基づいて求人情報を照会するサービス等)の規制が創設されました。
・労働者になろうとする者に関する情報を収集して行う募集情報等提供事業を行う者は、届出が必要となりました(「特定募集情報等提供事業者」)(43条の2第1項。施行規則31条の2)。既存業者は2022年12月31日までに届出を行えば足ります。
・特定募集情報等提供事業者は、その行った募集情報等提供に係る労働者の募集に応じた労働者から、当該募集情報等提供に関して報酬を受けることが禁止されます(43条の3)。
・特定募集情報等提供事業者は、事業停止命令の対象となり、事業概況報告書の提出が義務づけられます(43条の4,43条の5、施行規則31条の3)
・特定募集情報等提供事業者並びにその代理人、使用人その他の従業者は、業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らすことが禁止されます(51条1項)。
・特定募集情報等提供事業者についても、求職者等の個人情報の収集・保管・使用に当たっては、業務目的の達成に必要な範囲内で、当該目的を明らかにして収集・保管・使用する義務が定められました(5条の5第1項)。利用目的の明示はインターネットの利用その他適切な方法により行う必要があります(施行規則4条の4)。

2.求人メディア等が依拠すべきルールの整備
安心してサービスを利用できる環境とするため、従来型を含めた求人メディア等全体が依拠すべきルールが整備されました。募集情報等提供については、従前は「指針」でルールを規定していましたが、トラブルがあっても行政処分の対象とはならないという不備がありました。以下では募集情報等提供事業者を中心に述べます。
①求人等に関する情報の的確な表示
募集情報等提供事業者は、広告等(*)により求人等に関する情報(**)を提供する場合は、当該情報について虚偽の表示又は誤解を生じさせる表示をすることが禁止され、最新かつ正確な内容に保つための措置(***)を講じなければなりません(5条の4第1項、第3項)。
(*) 広告、文書の提出・頒布、ファクシミリ・電子メールの送信等(施行規則4条の3第1項)
(**)求人・労働者の募集に関する情報、求職者・労働者になろうとする者に関する情報、自己・求人者・労働者の募集を行う者・労働者供給を受けようとする者に関する情報、職業安定法に基づく業務の実績に関する情報(施行規則4条の3第2項)
(***)依頼者等の求めに応じた求人等に関する情報の提供中止・内容訂正、求人等に関する情報が正確・最新でないことを確認した場合の依頼者への確認又は提供中止、依頼者に対する労働者募集の終了・内容変更の通知の依頼・情報時点の明示(1号事業者の場合)、労働者募集に関する情報の定期的収集更新・収集更新頻度の明示・収集時点の明示(2号事業者の場合)、依頼者に対する情報を正確且つ最新の内容に保つことの依頼・情報辞典の明示(3号事業者)、労働者になろうとする者に関する情報の定期的収集更新・収集更新頻度の明示・収集時点の明示(4号事業者)(施行規則4条の3第4項)
②改善命令等
募集情報等提供事業者についても、法令に違反し必要な場合の業務運営を改善するために必要な措置を講ずべき命令、立入・質問・検査の対象となりました(48条の3第1項、50条2項)。