経営者が押さえておくべき最近の法律改正(2022年施行分)(完)

2022.05.27

法的支援

経営者として押さえておくべきと思われる2022年に施行される予定の改正法をまとめました。本文中の条文番号は各法律の条文を示しています。
目次
1.電子帳簿保存法          7.女性活躍推進法
2.著作権法             8.民法
3.特許法              9.宅地建物取引業法
4.個人情報の保護に関する法     10.公益通報者保護法
5.育児・介護休業法         11.厚生年金保険法・健康保険法 
6.労働施策総合推進法        12.プロバイダ責任制限法                                                                                        (以上前号まで)
                   13.特定商取引法(本号)

13.特定商取引法(2022年6月1日施行)
①通信販売における詐欺的商法への対策
定期購入でないと誤認させる表示(定期性誤認表示)等の直罰化(11条6号、14条1項、15条)、定期性誤認表示によって申込みをした場合に申込みの取消しを認める制度の創設(15条の4)、通信販売の契約の解除の妨害に当たる行為の禁止(13条の2、14条、15条)、定期性誤認表示や解除の妨害等の適格消費者団体の差止請求の対象への追加(58条の19)について改正されました。
②広告表示事項の拡大
広告表示事項である「定期契約である旨及び金額契約期間その他の販売条件」の定期役務提供契約への適用拡大(11条6号、施行規則8条7号)、広告表示事項である「申込みの撤回又は解除に関する事項」の役務提供契約への適用拡大(11条5号)、広告表示事項に売買契約又は役務提供契約について申込みの期間の定めのある場合の「その旨及びその内容」の追加(11条4号)、商品の売買契約および役務提供契約の申込み画面に表示すべき事項(販売価格等、支払時期方法、権利移転提供時期、申込みの期間についての定めある場合のその旨及び内容、売買契約及び役務提供契約の申込みの撤回又は解除に関する事項、商品等の分量)の法定(12条の6第1項)、商品の売買契約および役務提供契約の申込み画面に誤信させるような表示の禁止(12条の6第2項)について改正されました。
③クーリング・オフ通知のデジタル化
消費者からのクーリング・オフの通知について書面だけでなく電磁的記録(電子メールの送付等)でも行うことが可能になります。電磁的記録によるクーリング・オフ通知も書面と同じく発信主義(発信時に効力発生)です(9条、24条、40条、48条、58条、58条の14)。
④外国執行当局の情報提供制度や行政処分の強化
外国執行当局に対する情報提供制度の創設(69条の3)、行政処分の強化等(違反者に対する措置の一部強化)(7条2項、8条の2第2項、15条2項、15条の2第2項、22条、23条、23条の2第2項、39条4項、39条の2第4項、47条2項、47条の2第2項、57条2項、57条の2第2項、58条の13第2項、58条の13の2第2項、66条3項)について改正されました。
(*)事業者が交付すべき書面のデジタル化(2023年6月15日までに施行予定)
事業者が交付しなければならない契約書面等について、消費者の承諾を得て、電磁的方法(電子メールの送付等)で行うことが可能になります(4条2項、3項、5条3項、18条2項、3項、19条3項、20条、37条3項、4項、42条4項、5項、55条3項、4項、58条の7第2項、3項)。「消費者の承諾」の取得方法如何ではデジタル化の効果が減殺されますので、今後の動向を注視する必要があります。