経営者が押さえておくべき最近の法律改正(2022年施行分)(その4)

2022.04.30

法的支援

経営者として押さえておくべきと思われる2022年に施行される予定の改正法をまとめました。本文中の条文番号は各法律の条文を示しています。
目次
1.電子帳簿保存法          7.女性活躍推進法
2.著作権法             8.民法
3.特許法              9.宅地建物取引業法(以上本号)
4.個人情報の保護に関する法     10.公益通報者保護法
5.育児・介護休業法(以上前号まで) 11.厚生年金保険法・健康保険法 
6.労働施策総合推進法        12.プロバイダ責任制限法
                   13.特定商取引法

6.労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(「労働施策総合推進法」)(2022年4月1日から中小企業にも適用)
事業主は、「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されること」(=パワハラ)のないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならず、労働者がかかる相談を行ったこと又は事業主によるかかる相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないとされています(30条の2第1項、2項)。上記の雇用管理上の措置義務及び労働者が事業主に相談をしたこと等を理由とする不利益取扱の禁止は、2020年4月1日から大企業に適用されていますが、2022年4月1日から中小企業にも適用されます。

7.女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(「女性活躍推進法」)(2022年4月1日から適用拡大)
女性活躍推進のための行動計画の策定義務と行動計画の社内周知・外部公表の義務については、従前の常時雇用労働者が301人以上の企業に加えて、常時雇用労働者が101人以上300人以下の中小企業にも適用されます。

8.民法(2022年4月1日施行)
民法上の成年年齢が20歳から18歳に引き下げられます。
18歳になることで可能になることとしては、親権からの離脱(住居、進路、就職先等の決定)、契約締結、10年有効のパスポート取得、国家資格(公認会計士、司法書士、医師、薬剤師等)の取得、性別取扱の変更審判申立等があります。但し、飲酒、喫煙、公営ギャンブルの投票券購入、養子縁組(養親側)、大型・中型自動車免許の取得については、従前通り20歳から認められます。

9.宅地建物取引業法(2022年5月18日までに施行予定)
デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律(令和3年5月19日法律37号)による改正の一貫として、①重要事項説明書及び宅地建物の売買・交換・賃貸(媒介契約・代理契約を除く)締結後の交付書面への押印が不要となり(35条5項、7項、37条3項)、②売買・交換の媒介契約・代理契約締結後の交付書面、(売買・交換の専任媒介契約締結の場合の)レインズ登録時の交付書面、重要事項説明書、宅地建物の売買・交換・賃貸締結後の交付書面について電磁的方法による交付が認められるようになりました(34条の2第11項、12項、34条の3、35条8項、9項、37条4項、5項)。