経営者が押さえておくべき最近の法律改正(2022年施行分)(その3)

2022.04.22

法的支援

経営者として押さえておくべきと思われる2022年に施行される予定の改正法をまとめました。本文中の条文番号は各法律の条文を示しています。
目次
1.電子帳簿保存法          7.女性活躍推進法
2.著作権法             8.民法
3.特許法              9.宅地建物取引業法
4.個人情報の保護に関する法(以上前号まで)10.公益通報者保護法
5.育児・介護休業法(本号)     11.厚生年金保険法・健康保険法 
6.労働施策総合推進法        12.プロバイダ責任制限法
                   13.特定商取引法

5.育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(「育児・介護休業法」)(2022年4月1日、10月1日施行)
◎2022年4月1日施行:
①事業者が講ずべき措置等の拡充
・労働者から当該労働者又はその配偶者の妊娠・出産等の事実を申し出た場合、事業者は、当該労働者に対して育児休業制度等を周知し、当該労働者の意向を確認するための面談等の措置を講じなければなりません。かかる申出をしたことを理由とする当該労働者に対する不利益取扱も禁止されます(21条)。
・育児休業の申出・取得を円滑にするため、事業者は、(i)育児休業に係る研修の実施、(ii)育児休業に関する相談体制の整備、又は(iii)その他厚生労働省令で定める雇用環境の整備に関する措置のいずれかを講じなければなりません(22条1項)。
②有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和
有期雇用労働者の育児休業及び介護休業の取得要件のうち、「事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者」であることという要件が廃止されました。この結果、有期雇用労働者は、子が1歳6ヶ月に到達する日までに労働契約の満了が明らかでない場合には1歳に満たない子について育児休業の取得を申し出ることができ、介護休業開始予定日から起算して93日経過日から6ヶ月を経過する日までに労働契約の満了が明らかでない場合には介護休業の取得を申し出ることができます(5条1項、11条1項)。
◎2022年10月1日施行:
①出生時育児休業の新設((2022年10月1日施行)
・男性の育児休業取得促進のため、労働者は、子の出生後8週間の期間内に4週間以内の期間を定めて休業(出生時育児休業)することができます。有期雇用労働者は、子の出生後8週間を経過する日から6ヶ月経過後までに労働契約が満了することが明らかでない場合に出生時育児休業を取得できます(9条の2第1項)。但し、通常の育児休業と同様に、労使協定により短期有期労働者等を除外することは可能です(9条の3第2項)。
・出生時育児休業は分割して2回まで取得できます(9条の2第2項)。
・出生時育児休業の申出は、出生時育児休業開始の2週間(労使協定で2週間から1ヶ月までの期間を定めた場合は当該期間)前までに行う必要があります(9条の3第3項、4項)。通常の育児休業(1か月前)よりも申出期間は短縮されています。
・労使協定を締結している場合は、労働者は、出生時育児休業開始予定日までに事業者と合意した範囲で出生時育児休業期間中に就業することもできます(9条の5)。
・出生時育児休業の申出、出生時育児休業期間中の就業申出等を理由とする不利益取扱は禁止されます(10条)。
②育児休業の分割取得
育児休業(出生時育児休業を除く。)について、分割して2回まで取得することが可能となりました(5条2項)。