経営者が押さえておくべき最近の法律改正(2021年施行分)(その3)

2022.02.28

法的支援

2021年に施行された改正法のうち経営者として押さえておくべきと思われるものをまとめました。便宜上、2020年施行のものも記載しています。本文中の条文番号は各法律の条文を示しています。
目次:
1.著作権法
2.意匠法
3.労働者派遣法(前号・本号)
4.高年齢者雇用安定法
5.労働施策総合推進法
6.パートタイム・有期雇用労働法
7.会社法
8.賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律
9.特定商取引法

3.労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(「労働者派遣法」)(2020年4月1日、2021年1月1日、2021年4月1日施行)
◎2021年1月1日施行
①派遣元の派遣労働者雇入時における教育訓練(キャリアアップ措置)についての説明義務(31条の21項、30条の2、施行規則25条の14第2項4号)、②派遣先と派遣元間の派遣契約書の電磁的記録による作成の承認(ペーパーレス化)(施行規則21条3項、厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令5条、別表2)、③派遣先の派遣労働者からの苦情の処理義務(40条1項)、④日雇派遣(日々又は30日以内の期間を定めて雇用)が解除された場合の派遣元の休業手当支払等の明確化(参考:日雇派遣労働者の雇用の安定等を図るために派遣元事業主及び派遣先が講ずべき措置に関する指針第2の5(2))について改正されました。
◎2021年4月1日施行
①雇用安定措置(*)について派遣労働者の希望の聴取義務・聴取結果の派遣管理台帳記載義務(30条1項、37条1項13号、施行規則25条の2第3項、31条10号)、②マージン率等(**)のインターネットによる開示の原則化(23条5項、施行規則18条の2第1項)について改正されました。
なお、2021年4月1日から派遣労働者の同一労働同一賃金規制(30条の3第2項)(***)が中小企業にも適用されます(下記7参照)。
(*)同一組織単位への3年間の派遣が見込まれている派遣労働者に就労後にも継続した雇用を講じるための措置で、派遣先企業への直接雇用の依頼、新しい派遣先の提供、派遣会社での無期雇用又はその他雇用安定を図るための措置のいずれかを実施しなければならない。派遣見込みが3年未満の場合は努力義務(30条1項、2項)。
(**)派遣労働数、派遣先企業の数、派遣料金の平均額、派遣労働者の賃金の平均額、マージン率、労使協定の締結状況(範囲・有効期間)、派遣労働者のキャリア形成支援制度
(***)派遣先均等・均衡方式と労使協定方式のいずれかの措置。均等待遇とは、派遣労働者と派遣先の通常の労働者との間で、(i)職務の内容、(ii)職務の内容・配置の変更の範囲が同じ場合は、派遣労働者であることを理由とした差別的取扱いを禁止することをいい、均衡待遇とは、派遣労働者と派遣先の通常の労働者との間で、(i)職務の内容、(ii)職務の内容・配置の変更の範囲の両方又は一方が異なる場合は、職務の内容、職務の内容・配置の変更の範囲及びその他の事情を考慮して不合理な待遇差を禁止することをいう。