経営者が押さえておくべき最近の法律改正(2021年施行分)(その4)

2022.03.14

法的支援

2021年に施行された改正法のうち経営者として押さえておくべきと思われるものをまとめました。便宜上、2020年施行のものも記載しています。本文中の条文番号は各法律の条文を示しています。
目次:
1.著作権法
2.意匠法
3.労働者派遣法(以上前号)
4.高年齢者雇用安定法
5.労働施策総合推進法(以上本号)
6.パートタイム・有期雇用労働法
7.会社法
8.賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律
9.特定商取引法

4.高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(「高年齢者雇用安定法」)(2021年4月1日施行)
定年(65歳未満)の定めをしている場合は、(i)65歳までの定年の引き上げ、(ii)65歳までの継続雇用制度(希望すれば定年後も雇用する制度)の導入又は(iii)定年の定めの廃止のいずれかの措置を講じる必要があります(9条1項)。
改正法では、65歳から70歳までの就業機会を確保するため、70歳までの就業機会確保の努力義務を新設しました。即ち、65歳以上70歳未満の定年の定めをしている場合又は70歳未満までの継続雇用制度を導入している場合は、①70歳までの定年の引き上げ、②70歳までの継続雇用制度の導入、③定年の定めの廃止、④創業支援等措置(高年齢者との委託契約、関連する社会貢献事業と高年齢者間の委託契約等)のいずれかの措置を講ずるよう努める必要があります(10条の2)。創業支援等措置は事業場の労働者の過半数で組織する労働組合(かかる労働組合がない場合は労働者の過半数の代表者)の同意を得る必要があります。

5.労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(「労働施策総合推進法」)(2021年4月1日施行)(中小事業主については2022年3月31日までは努力義務)
職場におけるパワーハラスメントを防止するため、①事業主の方針の明確化及びその周知啓発、②相談に適切に対応するために必要な体制の整備、③職場におけるハラスメントに係る事後の迅速且つ適切な対応等の雇用管理上必要な措置を講じる必要があります(30条の2)。
パワーハラスメントとは、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることをいいます。労働者がハラスメントの相談を行ったこと又は事業主による相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをすることは禁止されます。
参考:事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(令和2年1月15日厚生労働省告示第5号)
(https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000605661.pdf)