経営者が押さえておくべき最近の法律改正(2021年施行分)(その2)

2022.02.21

法的支援

2021年に施行された改正法のうち経営者として押さえておくべきと思われるものをまとめました。便宜上、2020年施行のものも記載しています。本文中の条文番号は各法律の条文を示しています。
目次:
1.著作権法
2.意匠法(以上前号)
3.労働者派遣法(本号)
4.高年齢者雇用安定法
5.労働施策総合推進法
6.パートタイム・有期雇用労働法
7.会社法
8.賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律
9.特定商取引法

3.労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(「労働者派遣法」)(2020年4月1日、2021年1月1日、2021年4月1日施行)
◎2020年4月1日施行
①不合理な待遇差をなくすための規定の整備
・派遣先均等・均衡方式(*)vs労使協定方式(**))(30条の3、30条の4、施行規則24条の5)
・派遣元の派遣労働者(労使協定対象労働者を除く)の職務内容等を勘案した賃金決定の努力義務(30条の5)
・派遣労働者に係る事項についての就業規則を作成・変更する場合の派遣労働者の過半数代表者からの意見聴取努力義務(30条の6))、
②労働者派遣契約締結時の対応強化
・派遣先から派遣元への比較対象労働者の待遇に関する情報提供義務(26条7項、施行規則24条の4)
・派遣元から派遣先に対する労使協定対象労働者であるかについての通知義務(35条1項2号)
・労使協定対象労働者であるかについての派遣元管理台帳・派遣先管理台帳への記載義務(37条1項1号、42条1項1号)
・派遣労働者が従事する業務に伴う責任の程度の労働者派遣契約記載事項への追加(26条1項10号、施行規則22条1項1号))、
③派遣元の派遣労働者への説明義務の強化
・雇入時・派遣時における労働条件(昇給・退職手当・賞与の有無、協定対象労働者であるか、派遣労働者が申し出た苦情の処理に関する事項)・不合理な待遇差の解消措置についての説明義務(31条の2第2項、3項)
・派遣労働者から求めがあった場合の比較対対象労働者との待遇差に関する説明義務・不利益取扱いの禁止(31条の2第4項、5項))
④派遣先の対応ルールの新設
・派遣先の派遣料金交渉における待遇改善配慮義務(26条11項)
・派遣先の(派遣元からの求めに応じた)教育訓練実施義務、福利厚生施設の利用機会提供義務、通常利用施設の利用についての便宜供与配慮義務(40条2項、3項、4項)
・派遣先の(派遣元の求めに応じた)派遣先労働者に関する情報・派遣労働者の業務の遂行状況等の情報提供配慮義務(40条5項))
⑤裁判外紛争解決手続(行政ADR)の規定の整備
・都道府県労働局長による助言・指導・勧告、紛争調整委員会による調停)(47条の4ないし47条の9)について改正されました。
(*)派遣先の通常の労働者との均等・均衡待遇を図る方式
(**)派遣元において、労働者の過半数で組織する労働組合又は労働者の過半数代表者と一定の要件を満たす労使協定を締結し、当該協定に基づいて派遣労働者の待遇を決定する方式