経営者が押さえておくべき最近の法律改正(2021年施行分)(その1)

2022.02.14

法的支援

最近の法律改正についてはこのコーナーで順次ご紹介してきましたが、今回は、2021年に施行された改正法のうち経営者として押さえておくべきと思われるものをまとめました。便宜上、2020年施行のものも記載しています。本文中の条文番号は各法律の条文を示しています。
目次:
1.著作権法
2.意匠法(以上本号)
3.労働者派遣法
4.高年齢者雇用安定法
5.労働施策総合推進法
6.パートタイム・有期雇用労働法
7.会社法
8.賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律
9.特定商取引法

1.著作権法(2020年10月1日、2021年1月1日施行)
◎2020年10月1日施行
①リーチサイト(違法にアップロードされた著作物へのリンク情報を集約したサイト)対策(サイト運営行為とリンク提供行為も違法に)(113条2項ないし4項、119条2項4号・5号、120条の2第3号等)、②写り込みに係る権利制限規定の対象範囲の拡大(複製・伝達行為全般(創作性を問わず)につき分離困難な対象でなくても写り込みは著作権侵害とならず)(30条の2)、③著作物を利用する権利に関する対抗制度の導入(許諾された著作物利用権を著作権の譲受人にも対抗可)(63条の2)について改正されました。
◎2021年1月1日施行
①侵害コンテンツのダウンロード違法化(音楽・映像に限らず違法アップロードを知りながらのダウンロードは一定要件下で違法に)(30条1項4号、2項、119条3項2号、5号等)、②著作権侵害訴訟における証拠収集手続の強化(裁判所は書類提出命令発出の要否を判断するため予め証拠書類を閲覧でき、専門委員のサポートを受けることも可能に)(114条の3)、③アクセスコントロールに関する保護の強化(ライセンス認証が保護対象であることが明確化され、ライセンス認証等を回避するための不正なシリアルコード等の譲渡等も著作権侵害行為に)(2条1項20号、21号、113条7項、120条の2第4号等)について改正されました。

2.意匠法(2020年4月1日、2021年4月1日施行)
◎2020年4月1日施行
①保護対象・間接侵害規定の拡充(画像、内装、建築物の追加)(2条1項、2項、5条、6条、8条の2,37条、61条の6、64条、65条)、②意匠権の存続期間・関連意匠制度の変更(10条、21条、60条の8)、③損害賠償時の算定方法見直し(38条)、④創作の非容易性に関する水準の明確化(3条2項)、⑤組物の部分意匠導入(2条1項、8条)について改正されました。
◎2021年4月1日施行
①複数意匠の一括出願手続の導入(上限100)(*)(7条、2条の2、15条)、②手続における救済規定の拡充(意匠登録の指定期間経過後2ヶ月以内及び指定期間内に1回のみ2ヶ月間の延長可、優先期間経過後も正当理由あれば優先権の主張可、優先権を証明する書類の提出期間経過後も注意喚起通知から2ヶ月以内は提出可)(15条、60条の10、68条、準用する特許法5条3項、43条の2、43条6項、7項等)、③物品区分における扱いの見直し(区分表廃止・新基準制定、意匠に係る物品又は意匠に係る建築物若しくは画像の用途が明確となるように記載すれば良い、添付資料と併せて総合的に審査)(7条、施行規則7条)について改正されました。
(*)分割出願、変更出願、補正却下後の新出願、国際意匠出願を除く。