フリーランスの保護(完)

2021.09.13

法的支援

今回は、独占禁止法・下請法上問題となる事例の残りと契約の解消について解説します。

⑦役務の成果物の受領拒否
・事業者の一方的都合により成果物が不要になったことを理由とする受領拒否
・検査基準を恣意的に厳しくしたことによる受領拒否
・フリーランスが求めたにもかかわらず正当な理由なく仕様を明確にしなかったことによる受領拒否
・納期を一方的に短くしたことによる受領拒否
⑧役務の成果物の返還
・顧客からの返品を理由とする返品
・直ちに発見できる瑕疵を標準的な検収期間経過後に検収したことによる返品
⑨不要な商品・役務の購入・利用の強制
・取引終了・取引量縮小の可能性をちらつかせた事業者の指定する商品の購入の要請
・事業者の指定する商品の組織的・計画的な購入の要請
・不要な役務利用の一方的な要請
⑩不当な経済上の利益の提供要請
・決算対策のための協賛金負担の要請
・契約内容ではない役務(回収・保守・点検等)の無償提供の要請
・フリーランスの顧客リストの無償提供の要請
・フリーランスが提供した付随資料の無償使用の要請
⑪合理的に必要な範囲を超えた秘密保持義務の一方的な設定
・事業者との取引実績の公表を合理的に必要な範囲を超えて制限する秘密保持義務の一方的な設定
・フリーランスへの育成投資や報酬額が著しく低いにもかかわらず、合理的に必要な範囲を超えた一方的な専属義務の設定
・フリーランスの育成に要する費用を回収したにもかかわらず、当該費用の回収を理由とする競業避止義務や専属義務の設定
(*)専属義務があると労働者性が認められやすくなります。
⑫その他取引条件の一方的な設定・変更・実施

3契約の解消
①事業者からの契約解消
事業者は、損害を賠償することにより契約を解除できます(民法641条、651条)。
フリーランスが労働基準法上の労働者に該当する場合は、契約期間中の契約解消にはやむを得ない事由が必要であり、更新拒否には雇い止めの規制が適用され、期間の定めがない場合は解雇権濫用法理の適用があります(労働契約法16条、17条、19条)。
②フリーランスからの契約解消
フリーランスは、損害を賠償することにより契約を解除できます(民法641条、651条)。損害賠償の予定や違約金の定めがある場合は、優越的地位の濫用に該当する余地はあります。
フリーランスが労働基準法上の労働者に該当する場合は、契約期間中の契約解消にはやむを得ない事由が必要であり(民法628条)(但し1年超ならいつでも可(労働基準法137条))、期間の定めがない場合は意思表示から2週間経過により契約を解消できます(民法627条)。