ガチャポン、カプセルトイの採算(その1)

2023.08.15

企業支援

 懇意の若手創業経営者が、事業多角化の一環でガチャポン=カプセルトイを活用した販売企画に挑戦すると伺い、自販機同様、無人販売で利益が得られる副業としての魅力がありそうなので、良い機会と事業採算性などを調べてみました。
1.ガチャポン市場
2.ガチャポンの事業形態
(1)ベンダー設置方式(以上本号)
(2)ガチャポン本体購入方式
(3)ガチャポン本体購入+トイ制作方式
3.まとめ
1.ガチャポン市場
 ガチャポンと言えばかつては駄菓子屋の店先で子供が100円までの硬貨で、ちょっとしたキャラクタートイや、プラ模型、消しゴム等出していたイメージでした。最近は大人も楽しめる精密サンプル模型など商品の幅も広がり、昨年来の市場規模が全国で年400億円超と喧伝されるなど隠れたブームのようです。確かに職場の机の上にユニークな企画物フィギィアやミニチュアカー、キャラクターものまで飾られているのも珍しくなくなりました。コップのフチ子さんシリーズや黒い顔の松崎しげるモノなどが話題となったことも思い出され、エキナカや書店、スーパーなどにずらりとガチャポンの機械本体が並んでいるのも普通に見かけるようになりました。
 大人もターゲットとしたカプセルトイは、1回300円~500円と値段も高いのですが、収集癖をくすぐるアイデア企画と精巧さは頭が下がります。サンプル事業者の方曰く、この値段でこのレベルのトイを出せるのはすごいとのこと。海洋堂の昆虫や恐竜は知られたところですが、1/64スケールのミニチュアカーは、収集人気も高く、絶版後何万円にもなるようなものもあるとか。本当かなあと思いつつ、某所で20分くらい見ていたら1回500円、4種類のR32スカイラインGTのガチャポンを50を過ぎたいい大人の方が何人も回していくのを目撃してしまいました。Youtubeなどネットも賑わっていて、欲しいミニチュアの為に20回も回したとか、SNSで絶版物がまだある設置場所情報なんてのも投稿されています。
2.ガチャポンの事業形態
 ガチャポンの事業形態としては、①ベンダー業者に設置場所を提供する方式(飲料自販機と同じ)、②ガチャポン本体を自前で購入して販売する方式、③ガチャポン本体を購入するだけでなく、カプセルトイも自前で作成する方式の3形態が代表的です。
(1)ベンダー設置方式
 ①のベンダー設置方式は、機材設置費用、カプセルトイの補充管理、販売代金の精算をすべて設置業者が行うので、場所提供事業者にとっての費用負担、管理負担が基本的には無いのがメリットです。しかしこの場合、一定数以上の人通り等集客力、概ね10台以上設置できる良好スペース確保など設置業者の査定が厳しく、結局は大規模店舗や駅、空港などに
絞られてしまいます。また、カプセル1個売上げに対する場所提供者の利益は個別契約ですが10%程度~とすると20台以上置いて月間1,000個以上売れてもなかなか5万円/月には届きません。一般のテナント誘致やイベントスペース運用の合間を縫ったスペース運用や、狭間スペース活用の場面が想定されます。