カーボンゼロ(Ⅲ)……化石燃料もバイオマス燃料(その1)

2022.12.5

企業支援

化石燃料と言われる石炭・石油・天然ガスは、1億年程度以前の生物の死骸から出来ているというのが定説となっています。まさに、生物を原料としているバイオマス燃料そのものです。ですが、なぜ化石燃料(及びそれを原料とするプラスティック)は、地球温暖化対策の最大のターゲットとされているのでしょう。今回は、これついて考えてみます。
ところで、本題に入る前に二酸化炭素(CO₂)を排出している人間(及び動物)は、なぜ地球温暖化対策の対象となっていないか ご存じでしょうか。勿論人道的な側面もベースにあるとは思いますが、人間はCO₂を吸収している食物を摂取して、そのCO₂を排出しているだけだという前提に基づいています。野菜・果実等は、自然薯のように生育に数年かかるものを例外とすれば、ほぼ1年以内にCO₂を吸収して生育・成長したものです。家庭菜園をしている方には、キュウリを1週間収穫に行かなくてとんでもなく大きくしてしまった経験をお持ちの方もいるでしょう。植物にもダイナックな命の営みがあることを感じます。また、肉・魚等も、生育した植物や、それを食した動物・魚等、さらにそれらを食することによりCO2を吸収した動物・魚等などです。したがって、人間はCO₂を吸収した植物類をこの食物連鎖の中で摂取して形作られ、その一部のCO₂を排出していることとなります。この食物連鎖は、植物の成長のように1年以内とは言えませんが、昔と違って寿命が数十年あるマンモスのような動物を食する習慣はあまりないと思いますので、せいぜい数年程度で完結していると考えていいと思います。ただ、今回は触れませんが、人間や動物はメタンガス(CH₄)も排出していますので、その点への配慮は必要でしょう。
ここで改めて地球温暖化について考えてみますと、これは19世紀半ば以降、特にこの100年ぐらいに温室効果ガスの濃度が急速に上昇しており、それが地球の温度上昇をもたらしている大きな要因と考えられるということでしょう。したがって、その対策として温室効果ガスの排出を抑えることで地球の温度上昇を抑制していくことを目指していこうということです。このことを考えますと、CO₂を短期に吸収・排出を繰り返している部分は両方を相殺して考えることが出来ますが、1億年程度以前に吸収しているものを今排出することは現在の温室効果ガス濃度の上昇となってしまいます。したがって、バイオマス燃料という言葉の使い方には問題はありますが、化石燃料をターゲットにするのは当然のことです。ここでは、時間の概念が非常に意味を持っております。ビジネスでも上記とは少し違いますが、タイミング次第で同じことでも成否を分けることがあります。水道水以外の水を購入する習慣がなかった時代に天然水のペットボトルの輸入販売を手掛けながら、早期に撤退した会社もあります。皮肉にもその翌年大手飲料メーカーが参入し、一気に天然水のペットボトルは浸透していきました。また、「アベノマスク」についても発表した時すぐに配布されていれば高い評価を得たと個人的には思っていますが、配布までの時間を要してしまったことから、その間に手作りマスクの浸透、使用期間の延長等の消費者の工夫、中国での需要減少も合いまった供給体制の整備が進行し、配布時点では多くの人には無用の長物となってしまったのは、皆さんも体験されたことです。
少し脇道にそれましたが、次回は戻って化石燃料以外のバイオマス燃料の代表として木材について触れていきます。

<おまけ…ふるさと納税で、収入のある時に納税しよう>
ふるさと納税には、後払いになりがちな税金を収入のある時に支払えるという利点がありますので皆さんも考慮してください。特に、収入が不安定な方、役職定年・再雇用・退職等により翌年から収入の減少が見込まれる方にお勧めです。