住宅地空き家の民泊運用するには…(完)

2024.05.6

企業支援

住宅地空き家の民泊運用するには…(完)
今回は、実家や別荘など、家主不在住宅の民泊活用を考える方の一助となれば、ということで少しばかりの経験談をお届けします。
ひょんな経緯から温泉権利付住宅を結構都市部に近い住宅地に所有しております。公共料金、ネット維持費に固都税、温泉利用料そして町内会費に至るまで、自宅とは別の家を持つということは維持費もそれなりにかかるのですが、かといって結構自家使用(温泉三昧)している手前もあり、まあ維持費ぐらいは何とかカバーしたい、というのが始まりでした。
この住宅、一種低層住宅専用区域にあるため、旅館や簡易宿泊所申請とは行かないので、住宅地でも開業でき、自家使用も続けられる民泊運用に向けて目下準備を進めており、1年ほどかけて間もなく開業かなというところに来ています。

1制度、法の壁をクリアすること       (5)その他
(1)営業日数               (6)スケジュール
(2)運営管理委託             2創業コストと営業利益について
(3)消防法                (1)創業コスト
(4)ゴミ処理(以上前号)         (2)営業利益

1.制度、法の壁をクリアすること
(5)その他
その他、食事提供する場合の飲食店営業許可は専用厨房の新設が必要なため提供無しとし、浄化槽について大人数利用による容量オーバー懸念が無いよう利用定員を基本5名としました。
また温泉法による毎年の泉質分析報告などの管理は温泉供給会社・管理組合が代表して行っていることを確認し、室内には成分表示と利用案内の掲示を行えばよいことが判りました。
(6)スケジュール
民泊届出先は都道府県生活衛生の管轄で「〇〇県医療保健部食品安全課 生活衛生班」といった部署であり、事前相談でこれら各種規制に抵触しないことの要件確認と指導を受け、必要に応じ別途市町等での相談確認を経て受理までに半年ほどかかるとみてよいでしょう。

2.創業コストと営業利益について
最後に創業コストと営業利益について整理します。
(1)創業コスト
上記のような制度対応のやり方で25万円ほどかかりましたが、お客様を迎えるための最低限の備品準備も必要です。
洋室ツインベッド、和室3名ですが、予備と状況に応じてエキストラの折り畳みベッドを入れることを考え、6名分を揃えます。まず布団・リネン類、和室分のマットレスで12万円、そして鍋フライパンなどの調理用具とテーブルウエアで3万円、そしてバスタオル・フェイスタオル各20枚で5万円、その他来客スリッパや石鹸シャンプーなど開始時の消耗品3万円、と細々足し込むと25万円ほどになります。
今回自力で住宅宿泊管理業登録して、でのコストでは計50万円ほどかかることとなりましたが、管理委託の場合でも30万円から40万円ほどのイニシャルコストは見た方がよさそうです。
最低限は以上ですが、この機に併せて、壁紙張り替え、畳の表替え、55インチの4Kテレビ、ツインベッド、ファン付きシーリングへの交換、光インターネット回線の引き込みなど、気になる点の改善を図りました。なかなか手が付けられなかった住環境の整備にもなりましたが、お客様受け入れのためには物件の状況によりある程度の支出が必要でしょう。
(2)営業利益
勢いでこれまで準備して、さて採算はというとどうなるでしょうか。
まず宿泊料金の設定です。この民泊の差別化要素は、24時間かけ流し温泉付きの一棟貸であり、家族規模人数利用でき、ペット随伴ができることにありますが、周辺にスーパーがなく、飲食店も多くないので、朝食の自炊軽食食材(パン、コーヒー、サラダ材料等)の提供で補おうと考えています。これらのメリット、デメリットを考慮すると、地方都市駅前朝食付きビジネスホテルの家族ツイン2部屋利用と比較し、22,000円/1泊1棟を標準価格考えております。
1泊の平均宿泊人数を3名、初年度稼働率30%、2年目40%、3年目50%と仮定すると年間収入は、それぞれ、396千円、528千円、660千円、安定してくると700千円/年位と計算できます。
方や経費は、1人1泊当たりの直接経費がリネンクリーニング、消耗品、仲介サイトなどを考慮すると4,500円/1日・1人となり、ハウスクリーニングや備品消耗品の交換補充などを考慮すると、
民泊起因分でそれぞれ、初年度304千円、2年目371千円、3年目438千円、安定してくると450千円/年となります。
これから営業利益としては、初年度91千円、2年目156千円、3年目222千円、安定してくると250千円といったところでしょうか。当初3年間の営業利益が470千円と計算できますので、イニシャルコスト回収のためには。ほぼ3年間我慢すれば、4年目からはほぼほぼこの別荘維持費は確保できることとなりそうです。

家主不在型の住宅地空き家を民泊活用する場合は、固定資産税負担が大きくない地方都市であれば
そこそこ維持費分ぐらいは稼げますが、事業として行うにはやはり商業地域や特区の物件でなければ採算がり立たないことがお分かり頂けたと思います。