最近の法律改正(2023年を中心に)(その3)

2023.04.24

法的支援

昨年Newsletterで既にご紹介したものも含め、2023年を中心に施行される法律改正をまとめました。
1.労働基準法
2.育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律
3.民法
4.不動産登記法(以上前号まで)
5.相続土地国庫帰属法
6.個人情報の保護に関する法律
7.消費者契約法
8.消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律
9.消費税法

5.相続土地国庫帰属法(2023年4月27日施行)
①制度趣旨
相続(遺言による場合を含みます。)によって土地の所有権を取得した相続人が、法務大臣の承認により土地を手放して国庫に帰属させることを可能にする制度です。
②申請者
相続(遺言による場合を含みます。)によって土地の所有権を取得した相続人が申請できます。制度の開始前に土地を相続により取得した者は含まれますが、売買等によって土地を取得した者を含みません(2条1項)。土地が共有地であるときは、共有者全員で申請する必要があります(2条2項)。
③対象土地
以下の通常の管理又は処分に当たり過大な費用や労力が必要となる土地は対象外です(2条3項)。
・建物がある土地
・担保権又は使用収益する権利が設定されている土地
・通路など他人に使用される予定の土地(政令で定めるもの)
・土壌汚染対策法2条1項に定める特定有害物質により汚染されている土地
・境界が明らかでない土地その他所有権の存否・帰属・範囲について争いがある土地
・その他通常の管理処分に過分の費用又は労力を要する土地(5条1項)
④費用
審査手数料のほか、国庫への帰属について承認を受けた場合は、負担金(10年分の土地管理費相当額)を納付する必要があります(10条)。具体的な金額や算定方法は、今後政令で定められる予定です。負担金納付時に土地の所有権が国庫に帰属します(11条1項)。

6.個人情報の保護に関する法律(「個人情報保護法」)(2023年4月1日施行)
2022年4月1日に国の行政機関に関する行政機関個人情報保護法と独立行政法人等に関する独立行政法人等個人情報保護法が個人情報保護法に統合されたことに加え、2023年4月1日に地方公共団体等:地方公共団体ごとに定めた個人情報保護条例も個人情報保護法に統合されます。これにより、これまで独自に制定した個人情報保護条例を適用していた各地方公共団体等について全国的な共通ルールが定められ、個人情報保護委員会が一元的に制度を所管することとなり、個人情報の保護に関する質の確保などが期待されます。