少子化問題の本質を考える(その6)

2023.04.17

子育て支援

現国会でも議論されている少子化問題についての一考察です。
1.少子化の現状
2.少子化がもたらす諸問題
3.少子化の背景
4.海外の状況
5.解決の方向性
6.結婚しない理由
7.婚姻数増加の方策(以上前号まで)
8.婚外子割合増加の方策
9.特効薬は何か
10.最後に

8.婚外子割合増加の方策
(1)海外の状況
日本の婚外子が欧米と比べて遙かに少ないのは、社会的文化的違いもありますが、結婚しなくても育てられる社会制度も関係していると考えられます。欧米の制度の詳細を知りませんが、スウェーデンやイギリスは、育児に必要なインフラ整備を進めた結果、合計特殊出生率が回復したと聞きます。社会保障制度が充実している北欧3国の合計特殊出生率がいずれも高い(スウェーデン1.88、ノルウェー1.85、フィンランド1.85)のも頷けます。
(2)考えられる方策
シングルマザーは育児をしながら生活費を稼ぐ必要がありますので、シングルマザーが安心して出産・育児をするためには、①妊娠分娩時の経済的不安が解消されること、②育児時間を確保しやすい非正規労働者・派遣労働者であっても待遇が安定していること、③(シングルマザーに限られませんが)勤務中の育児を任せられる支援制度があることが必要と考えます。
①については、出産一時金増額、妊婦健診の公的助成等の施策が実施されています。②については、非正規労働者・派遣労働者の均衡待遇・均等待遇の原則が導入され、有期労働者の無期雇用社員への転換権も認められています(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律8条9条、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律30条の3第2項、労働契約法18条)。③については、7(2)と重なりますが、待機児童の解消、保育施設の利用時間の柔軟性、病児保育、学童保育等についての制度の充実のほか、勤務体制の柔軟化も必要です。