IPOをめざそう(その2)~どんな企業ならIPOできるのか(その1)

2023.01.16

企業支援

上場は将来の目標であり夢であると考える創業者は多いのではないでしょうか。では、どんな企業ならIPOできるのでしょうか。

1.取引所の概要
2.上場審査基準
(1)形式基準(以上本号)
(2)流通株式時価総額
(3)実例
(4)実質基準

1.取引所の概要
上場するための基準は、上場する市場とそのクラスによって異なります。国内には東京証券取引所(東証)のほか、札幌証券取引所、名古屋証券取引所、福岡証券取引所があります。各取引所には、会社のステージや規模に合わせていくつかのクラスがあり、東証には、プライム市場、スタンダード市場、グロース市場の三市場が設けられています。この市場分けは、2022年4月に行われたもので、マザーズ、ジャスダックとか、東証一部、二部といった従来の耳慣れた市場や区分はなくなりました。ざっくりいえば、プライム市場は大企業、スタンダード市場は一定の規模を持つ企業、グロース市場は高い成長を目指す企業の市場です。

2.上場審査基準
上場するためには、取引所の審査を受け合格する必要があります。詳細は、東証であれば、日本取引所グループのホームページにある「新規上場ガイドブック」で確認できます。創業し今後大きな成長を目指す企業は、まず東証グロース市場への上場が目標となります。東証グロース市場の上場基準を見ていきます。
上場審査の基準には「形式基準」と「実質審査基準」があります。

(1)形式基準
「形式基準」の主なものは、150人以上の株主数、1,000単位以上の流通株式数、5億円以上の流通株式時価総額、25%以上の流通株式比率、500単位以上の株券等の公募の実施、事業継続年数(1か年以前から取締役会を設置して、継続的に事業活動をしていること)などです。流通株式とは、オーナーの持ち分など売却されない株式を除外した、投資家が市場で売買できる株式のことで、時価総額とは、株価×発行株式数で企業の株式価値の総額をさします。その他、上場会社監査事務所による監査、株式事務代行機関の設置、単元株式数、株式の種類、株式の譲渡制限、指定振替機関における取扱いについての要件も定められていますが、純資産や利益の額については、基準がありません。基準の上では、上場申請時に純資産がマイナスつまり債務超過、利益は赤字でも上場は可能ということになります。