マイクロプラスチック問題を考える(完)

2022.09.12

企業支援

マイクロプラスチック(5ミリ以下のプラスチック粒子)による海洋汚染は、温暖効果ガスと並んで大きな環境問題となっています。マイクロプラスチックは、海洋生物のみならず人体へも悪影響があると言われています。以下では、2022年4月1日に施行されたプラスチックに係る資源循環の促進に関する法律を中心に、取り組むべき課題について検討します。

1.日本の取り組み
2.世界の取り組み
3.プラスチックに係る資源循環の促進に関する法律
(1)目的
(2)事業者の責務
(3)消費者の責務(以上前号)
(4)地方公共団体の責務
(5)プラスチック使用製品製造業者等
(6)特定プラスチック使用製品の使用の合理化
(7)排出業者による排出の抑制及び再資源化等
4.我々にできること

3.プラスチックに係る資源循環の促進に関する法律(プラ資源循環法)
(4)地方公共団体の責務
・市町村は、その区域内におけるプラスチック使用製品廃棄物の分別収集及び分別収集物の再商品化に必要な措置を講ずる(努力義務)
・都道府県は、市町村に対し、市町村の責務が十分に果たされるように必要な技術的援助を与える(努力義務)
・市町村及び都道府県は、国の施策に準じて、プラスチックに係る資源循環の促進等に必要な措置を講ずる(努力義務)
(5)プラスチック使用製品製造業者等
・主務大臣が定めるプラスチック使用製品設計指針(*2)に従いプラスチック使用製品を設計する(努力義務)
・プラスチック使用製品製造業者等は、その設計するプラスチック使用製品の設計について主務大臣の認定を受けることができる(「認定プラスチック使用製品」)
(*2) ①構造(減量化、包装簡素化,長期使用化・長寿命化、再使用可能な部品の使用・部品の再使用、単一素材化、分解・分別の容易化、収集・運搬の容易化、破砕・焼却の容易化)、②材料(プラスチック以外の素材への代替、再生利用可能な材料の使用、再生プラスチックの利用、バイオプラスチックの利用)、③製品のライフサイクル評価、④情報発信及び体制の整備(製品構造、部品取り外し方法、製品・部品の材質名、部品の交換方法、製品・部品の修理方法、製品・部品の破砕・焼却方法、製品・部品の収集・運搬方法)、⑤関係者との連携、⑥製品分野毎の設計の標準化・設計ガイドライン等の策定・遵守(③ないし⑥は留意点)
(6)特定プラスチック使用製品の使用の合理化
・主務大臣は、特定プラスチック使用製品(*3)を提供する事業者で特定プラスチック使用製品の使用の合理化が特に必要な業種に属する事業を行う者が特定プラスチック使用製品の使用の合理化によりプラスチック使用製品廃棄物の排出を抑制するために取り組むべき措置に関し判断の基準となるべき事項を定め、特定プラスチック提供事業者に対して必要な指導及び助言をすることができる。特定プラスチック「多量」提供事業者に対して必要な措置をとるべき旨の勧告等をすることもできる。
(*3) 商品販売又は役務提供に付随して消費者に無償で提供されるプラスチック使用製品(容器包装再商品化法2条1項で定める容器包装を除く):フォーク、スプーン、ナイフ、マドラー、ストロー、ヘアブラシ、櫛、ひげ剃り、シャワーキャップ、歯ブラシ、ハンガー、衣料用カバーの12品目⇒有料化、ポイント還元、意思確認、反復使用促し、肉薄化・軽量化(原材料工夫)、適性サイズ化、反復使用可能化
(7)排出業者による排出の抑制及び再資源化等
主務大臣は、排出事業者(*4)がプラスチック使用製品産業廃棄物等の排出の抑制及び再資源化等を促進するために取り組むべき措置に関し判断の基準となるべき事項を定め、排出事業者に対し必要な指導及び助言をすることができる。「多量」排出事業者に対して必要な措置をとるべき旨の勧告等をすることもできる。
(*4) 産業廃棄物に該当するプラスチック使用製品又はプラスチック副産物を排出する事業者

4.我々にできること
消費者としてやるべきことは、上記プラ資源循環法に従えば、①プラスチックゴミの分別、②プラスチック製品の使用抑制、③プラスチック製品の長期使用、④再資源化による製品の使用、⑤認定プラスチック使用製品の使用ということになります。認定プラスチック使用製品は、プラスチックの再生がしやすい製品のことですが、どれが認定プラスチック使用製品であるかが消費者にはわかりにくいという点は改善されるべきと思います。
以上のほか、⑥マイクロプラスチック問題の周知、⑦教育現場でのマイクロプラスチック問題の啓蒙活動、⑧エコバッグの使用、⑨マイカップ・マイボトル・マイフォーク・マイスプーン等の携帯も考えられます。
ある資料によれば、プラスチックのうち、リサイクルされるのが25%、熱エネルギー化(燃やす)されるのが58%とのことですので、残り18%の一部がマイクロプラスチック化するということになります。上記取り組みは、リサイクル化率と熱エネルギー化率を高めることにつながりますが、熱エネルギー化はCO2の増加につながるので、リサイクル率を高めるほうが好ましいでしょうね。
マイクロプラスチック問題に対して様々な取り組みが可能ですので、皆さんも、自分でできることについて是非考えてみてください。