マイクロプラスチック問題を考える(その1)

2022.08.19

企業支援

マイクロプラスチック(5ミリ以下のプラスチック粒子)による海洋汚染は、温暖効果ガスと並んで大きな環境問題となっています。マイクロプラスチックは、海洋生物のみならず人体へも悪影響があると言われています。以下では、2022年4月1日に施行されたプラスチックに係る資源循環の促進に関する法律を中心に、取り組むべき課題について検討します。

1.日本の取り組み
2.世界の取り組み
3.プラスチックに係る資源循環の促進に関する法律
(1)目的
(2)事業者の責務
(3)消費者の責務(以上本号)
(4)地方公共団体の責務
(5)プラスチック使用製品製造業者等
(6)特定プラスチック使用製品の使用の合理化
(7)排出業者による排出の抑制及び再資源化等
4.我々にできること

1.日本の取り組み
日本政府の主な取り組みは以下の二つです。
(1)プラスチック資源循環戦略(第四次循環型社会形成推進基本計画)
3R(reduce, reuse, recycle)+Renewableを基本原則とする、プラスチック資源の循環及びプラスチックによる海洋汚染解決の戦略です。戦略と目標は以下の通りです。
・ワンウェイプラスチックの使用削減(2030年までに排出を累計25%抑制)
・プラスチック資源の容易且つ効果的な分別回収・リサイクル(2030年までに容器包装の60%をリユース・リサイクル)
・可燃ゴミ指定袋等へのバイオプラスチックの使用(2030年までに200万トン導入)
・ポイ捨て・不法投棄の撲滅
(2)海洋プラスチックごみ対策アクション
2019年のG20に先駆けて、以下のアクションプランが策定されました。
・廃プラスチック処理・リサイクル施設の整備支援
・清涼飲料団体に専用のリサイクルボックスの設定を要請
・海洋ごみゼロウィークを作り全国一斉清掃を行う
・自治体が行う海岸漂流物の回収・処理の支援
・技術開発や代替素材の生産設備等の支援

2.世界の取り組み
EUでは、2030年までに全てのプラスチック包装剤をリユース・リサイクルすることとしています。米国では、プラスチックストロー・マドラーの使用禁止、再生プラスチック比率記載の義務づけ、マイクロビーズを含む洗顔料・歯磨き粉の製造販売の禁止を行っています。中国では、廃プラスチック等固体廃棄物の輸入を禁止しています。タイでは、廃プラスチック・電子廃棄物の輸入制限を強化しています。

3.プラスチックに係る資源循環の促進に関する法律(プラ資源循環法)
概要は以下の通りです。
(1)目的
国内外におけるプラスチック使用製品の廃棄物をめぐる環境の変化に対応して、プラスチックに係る資源循環の促進等を図るため、プラスチック使用製品の使用の合理化、プラスチック使用製品の廃棄物の市町村による再商品化並びに事業者による自主回収及び再資源化を促進するための制度の創設等の措置を講ずることにより、生活環境の保全及び国民経済の健全な発展に寄与すること。
(2)事業者の責務
・プラスチック使用製品廃棄物及びプラスチック副産物を分別して排出するとともに、その再資源化等(*1)を行う(努力義務)
・プラスチック使用製品の使用の合理化(プラスチック使用製品をなるべく長期間使用すること、プラスチック使用製品の過剰な使用を抑制すること等)により、プラスチック使用製品廃棄物の排出を抑制する(努力義務)
・使用済プラスチック使用製品等の再資源化等により得られた物又はこれを使用した物を使用する(努力義務)
・認定プラスチック使用製品を使用する(努力義務)
(*1) 使用済プラスチック使用製品又はプラスチック副産物を製品の一部として利用可能な状態にすること及び使用済プラスチック使用製品であって可燃性のものを発熱に利用できる状態にすること
(3)消費者の責務
・プラスチック使用製品廃棄物を分別して排出する(努力義務)
・プラスチック使用製品の使用の合理化(プラスチック使用製品をなるべく長期間使用すること、プラスチック使用製品の過剰な使用を抑制すること等)により、プラスチック使用製品廃棄物の排出を抑制する(努力義務)
・使用済プラスチック使用製品等の再資源化等により得られた物又はこれを使用した物を使用する(努力義務)
・認定プラスチック使用製品を使用する(努力義務)