経営者が押さえておくべき最近の法律改正(2022年施行分)(その1)

2022.04.2

法的支援

経営者として押さえておくべきと思われる2022年に施行される予定の改正法をまとめました。本文中の条文番号は各法律の条文を示しています。
目次
1.電子帳簿保存法          7.女性活躍推進法
2.著作権法(以上本号)       8.民法
3.特許法              9.宅地建物取引業法
4.個人情報の保護に関する法     10.公益通報者保護法
5.育児・介護休業法         11.厚生年金保険法・健康保険法 
6.労働施策総合推進法        12.プロバイダ責任制限法
                   13.特定商取引法

1.電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律(「電子帳簿保存法」)(2022年1月1日施行)
電子帳簿保存法では、請求書・領収書・契約書などの帳簿関連書類を、以下の3つの方法により電子的に保存することを認めています。
①電子帳簿等保存:最初から電子的に作成した帳簿等を、そのまま電子保存
②スキャナ保存:紙で受領・作成した書類を、スキャンして画像データとして保存
③電子取引の電子保存:メールやインターネット上からのダウンロードを通じて交付・受領した書類を、そのまま電子保存
①については、税務署長の事前承認制度の廃止、電子帳簿等保存の要件の大幅緩和、追加要件を満たす電子帳簿等保存の過小申告加算税の軽減措置(5%)整備、②については、税務署長の事前承認制度の廃止、タイムスタンプ要件・検索要件等の緩和、スキャナ保存記録に関連する不正に対する重加算税の加重措置(10%)整備、③については、タイムスタンプ要件・検索要件の緩和、申告所得税及び法人税関連の電子取引の取引情報について紙に出力する方法による保存の廃止、電子取引情報に関する不正に対する重加算税の加重措置(10%)整備について改正されました。

2.著作権法(2022年1月1日施行)(①②については2022年6月1日までに施行)
①国立国会図書館による絶版等資料のインターネット送信(国立国会図書館のウェブサイト上で閲覧可、②自己利用のためのプリントアウト可、非営利・無料等の要件下で公衆への伝達可)(31条4項ないし7項)、③放送番組のインターネット同時配信等に係る権利制限規定の拡充(権利者の許諾なく著作物等を利用できる放送等を同時配信にも適用)(34条1項)、④許諾推定規定の創設(権利者が別段の意思表示をしていなければ放送に加えて同時配信での利用も許諾したものと推定)(65条5項等)、⑤レコード・レコード実演の利用円滑化(一定の場合に通常の使用料金額に相当する補償金を支払うことで事前の許諾なく同時配信での利用が可)(94条の3、96条の3)、⑥映像実演の利用円滑化(一定の場合に通常の使用料金額に相当する補償金を支払うことで事前の許諾なく同時配信での利用が可)(93条の3、94条)、⑦協議不調の場合の裁定制度の拡充(同時配信も裁定制度利用可)(68条)について改正されました。