2021年育児介護休業法改正

2021.10.22

法的支援

2021年改正の「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(育児介護休業法)は、出産・育児等による労働者の離職を防ぎ、希望に応じて男女ともに仕事と育児等を両立できるようにするため、子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みの創設、育児休業を取得しやすい雇用環境整備及び労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け、育児休業給付に関する所要の規定の整備等の措置を講ずるものです。改正法の施行日は、下記2と5については2022年4月1日、下記1と3については公布日(2021年6月9日)から1年6ヶ月を超えない範囲で政令で定める日、下記4についてはは2023年4月1日です。改正のポイントは以下の通りです。

1出生時育児休業の新設((2021年6月9日から1年6ヶ月以内に施行)
①男性の育児休業取得促進のため、労働者は、子の出生後8週間の期間内に4週間以内の期間を定めて休業(出生時育児休業)することができます。有期雇用労働者は、子の出生後8週間を経過する日から6ヶ月経過後までに労働契約が満了することが明らかでない場合に出生時育児休業を取得できます(9条の2第1項)。但し、通常の育児休業と同様に、労使協定により短期有期労働者等を除外することは可能です(9条の3第2項)。
②出生時育児休業は分割して2回まで取得できます(9条の2第2項)。
③出生時育児休業の申出は、出生時育児休業開始の2週間(労使協定で2週間から1ヶ月までの期間を定めた場合は当該期間)前までに行う必要があります(9条の3第3項、4項)。通常の育児休業(1か月前)よりも申出期間は短縮されています。
④労使協定を締結している場合は、労働者は、出生時育児休業開始予定日までに事業者と合意した範囲で出生時育児休業期間中に就業することもできます(9条の5)。
⑤出生時育児休業の申出、出生時育児休業期間中の就業申出等を理由とする不利益取扱は禁止されます(10条)。

2事業者が講ずべき措置等の拡充(2022年4月1日施行)
①労働者から当該労働者又はその配偶者の妊娠・出産等の事実を申し出た場合、事業者は、当該労働者に対して育児休業制度等を周知し、当該労働者の意向を確認するための面談等の措置を講じなければなりません。かかる申出をしたことを理由とする当該労働者に対する不利益取扱も禁止されます(21条)。
②育児休業の申出・取得を円滑にするため、事業者は、(i)育児休業に係る研修の実施、(ii)育児休業に関する相談体制の整備、又は(iii)その他厚生労働省令で定める雇用環境の整備に関する措置のいずれかを講じなければなりません(22条1項)。

3育児休業の分割取得((2021年6月9日から1年6ヶ月以内に施行)
育児休業(出生時育児休業を除く。)について、分割して2回まで取得することが可能となりました(5条2項)。

4育児休業の取得の状況の公表の義務付け(2023年4月1日施行)
常時雇用する労働者数が1,000人超の事業主は、毎年少なくとも1回、育児休業の取得の状況について公表しなければなりません(22条の2)。

5有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和(2022年4月1日施行)
有期雇用労働者の育児休業及び介護休業の取得要件のうち、「事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者」であることという要件が廃止されました。この結果、有期雇用労働者は、子が1歳6ヶ月に到達する日までに労働契約の満了が明らかでない場合には1歳に満たない子について育児休業の取得を申し出ることができ、介護休業開始予定日から起算して93日経過日から6ヶ月を経過する日までに労働契約の満了が明らかでない場合には介護休業の取得を申し出ることができます(5条1項、11条1項)。