法的支援:フリーランスの保護(その1)

2021.06.28

法的支援

フリーランスの保護(その1)

フリーランスとは、内閣官房・公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」(令和3年3月26日)(「ガイドライン」)によれば、「実店舗がなく、雇人もいない自営業主や一人社長であって、自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る者」をいいます。自宅・ワーキングスペース・ネット上の店舗は実店舗に含まれず、個人経営に従事する同居の親族は雇人に含まれず、農林漁業従事者はフリーランスに含まれませんが、一人社長はフリーランスに含まれます。
コロナ禍を反映して、フリーランスの人口は1670万人(労働人口の24%)、経済規模は28兆円(前年比10兆円の増加)と過去最大規模となっています(ランサーズ「フリーランス実態調査2021」)。ガイドラインは、このように増大傾向にあるフリーランスを保護するルールの整備をめざすものです。次回以降では、以下の通り、フリーランスに適用される法制度と問題となる実例について解説します。

1法制度
①独占禁止法
②下請法
③労働基準法
④労働組合法
2独占禁止法・下請法上問題となる事例
①報酬の支払遅延
②報酬の減額
③著しく低い報酬の一方的な決定
④やり直しの要請
⑤一方的な発注の取り消し
⑥役務の成果物に係る権利の一方的な取扱い
⑦役務の成果物の受領拒否
⑧役務の成果物の返還
⑨不要な商品・役務の購入・利用の強制
⑩不当な経済上の利益の提供要請
⑪合理的に必要な範囲を超えた秘密保持義務の一方的な設定
⑫その他取引条件の一方的な設定・変更・実施
3契約の解消
①事業者からの契約解消
②フリーランスからの契約解消