実践的「新規創業のココロ」(その1)

2021.06.23

企業支援

総務や人事のアウトソーシング会社にいたことがあります。消費税率が上がり、親会社のコスト削減の影響で受託業務売上げが徐々に減少し、フライパンでじわじわ焼かれるカエルの状況になりました(カエルの調理法は人様々ですが)。そこで社長が一念発起し、「自力で稼げるベースを作ろう、チョウザメやマグロの養殖でも構わん。」との大号令のもと、全社員揚げての新規事業・多角化推進のアイデアを検討することと相成りました。もっとも、チョウザメやマグロの養殖は、社長は本気で言っていたものの、一旦事故が起これば数千万円の投資がパーになることがわかり、リスクマックスなので乗り出せる事業ではありませんでした。・・・ここまでは余談です。

 さて、新規創業のココロといえば、一般的には、「思い入れと差別化できるスキルやノウハウをベースにどうしてもやってみたい事業を最適な投資収益計算やマーケットを推し量って実現する」みたいなアプローチになろうかと思います。ラーメン専門店、(退職後の)蕎麦屋、パン屋さん、ペットのトリミング等、いろいろやってみたい事業があって、夢と希望がありますよね。
 ところが、「何かしたいんだけど、何かしなきゃいけないんだけど」と考えて世の中にあふれる「オススメ創業事業」を捜してみても、マーケットがもうできあがっているとか、過去にも検討したことがある、みたいな事業がほとんどで、暗い穴に落ち込みます。例えば、「コンビニ、コインランドリー、カフェFCチェーンは、過去にも検討したし、確かに投資や体力をかければある程度できそうだけども、たくさん投資をするだけの夢や楽しみがあまりないしリスクもあるよなあ。」といった具合です。
そこで、実践的な「新規創業のココロ」を考えてみたいと思います。それは、事業計算抜きで、自分の生活で欲しいサービスって何かなと、考えてみることです。飲みネタみたいな感覚でフリートークしていると意外と話が咲きます。ワイガヤの力とでもいいましょうか。私の経験の中から、その一例を以下に紹介します。

①  公団開発団地
最初に、公団開発団地の話です。田舎を離れて都会の企業に勤め、夢は一戸建てに住むことだが、やっとの思いで夢の公団開発団地の抽選に当選し、社宅を抜け出して引っ越したら町内に同じ会社の人が5軒もあって社宅と変わらん。そんな笑えない苦労を乗り越えて時代を歩んできた人たちが、定年間近になって、ふっと、「免許証返納したらこの町では暮らせないんじゃないか、早めに旧市街か都心のマンションに引っ越した方がいいんじゃないか」などと真剣に悩んでいるなかでの議論であります、これは盛り上がりました。一種低層砂漠とでもいましょうか、雑然として細やかなサービスに欠ける団地生活です。和菓子屋(公団の団地にはお赤飯や紅白饅頭を頼むのにも苦労)、団地内碁会所、送迎付き貸農園、キャンピングカーレンタル、各宗派寺院モール(医者はあるけど)、(免許返上後に困らないよう)総菜屋・魚屋・肉屋・八百屋・花屋・街食屋を店舗を分けてワンセットで開発するショッピングモール、レンタルカートステーション等、次から次へと「あったらいいもの」が出ます、出ます。

(次回に続きます)
~エール・ビジネスコンサルティングがブレインとしてあなたの夢の実現のお手伝いいたします。