法的支援:相続法改正(その1)

2021.06.21

法的支援

相続法改正(その1)

平成30年7月6日,民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律(平成30年法律第72号)が成立しました(同年7月13日公布)。 民法のうち相続法の分野については,昭和55年以来,実質的に大きな見直しはされてきませんでしたが,その間にも,社会の高齢化が更に進展し,相続開始時における配偶者の年齢も相対的に高齢化しているため,その保護の必要性が高まっていました。 今回の相続法の見直しは,このような社会経済情勢の変化に対応するものであり,残された配偶者の生活に配慮する等の観点から,配偶者の居住の権利を保護するための方策等が盛り込まれています。今回の改正は,一部の規定を除き,2019年(平成31年)7月1日から施行されました。以下の改正点について順次解説します。

1 配偶者の居住権を保護するための方策について(2020年4月1日施行)
⑴ 配偶者短期居住権
⑵ 配偶者居住権(2020年4月1日施行)
2 遺産分割に関する見直し等
⑴ 配偶者保護のための方策(持戻し免除の意思表示の推定規定)
⑵ 遺産分割前の払戻し制度の創設等
⑶ 遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合の遺産の範囲
3 遺言制度に関する見直し
⑴ 自筆証書遺言の方式緩和(2019年1月13日)
⑵ 遺言執行者の権限の明確化等
4 遺留分制度に関する見直し
⑴ 遺留分減殺請求権の行使による金銭支払債権権化
⑵ 受遺者又は受贈者の支払期限許与
5 相続の効力等に関する見直し
(1)法定相続分を超える部分の承継についての第三者対抗要件具備
(2)相続対象債務についての権利行使
6 相続人以外の者の特別寄与料支払請求権