法的支援:労務管理上のチェックポイント(その3)

2021.05.17

法的支援

今回は以下のポイントについて解説します。
④ 管理職にも深夜割増賃金を支払っていますか(労働基準法37条1項、3項、4項)?
⑤ 年次有給休暇を年5日取得させていますか(労働基準法39条7項、4項)?
⑥ 就業規則を労働基準監督署に届け出ていますか(労働基準法89条、90条1項)?
⑦ 非正規労働者の待遇と正規労働者の待遇との相違は合理的ですか(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律8条、9条)?

4 管理職にも深夜割増賃金を支払っていますか?
①法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超える労働には25%(法定外休日労働と合わせて月60時間を超える部分は50%)、②休日労働には35%、③深夜労働には25%の割増賃金を支払う必要があります。就業規則でこれより労働者に有利な規定(例えば1日7時間を超える労働について割増賃金を支払う規定)がある場合はそれに従って支払う必要があります。月60時間を超える部分が50%という規定(労使協定により割増賃金の引上げ分の支払に代えて有給の休暇を付与することも可能)は中小企業には2023年4月から適用されます。管理監督者については、超過労働と休日労働に対する割増賃金の支払は不要ですが、深夜労働に対する割増賃金の支払は必要です(労働基準法37条1項、3項、4項)。

5 年次有給休暇を年5日取得させていますか?
年次有給休暇が10日以上付与されている労働者については、年間最低5日の年次有給休暇を取得させる必要があります。但し、労働者が申請して取得した年次有給休暇及び事業場の労働者の過半数で組織する労働組合(かかる労働組合がない場合は労働者の過半数の代表者)との労使協定に基づき取得した年次有給休暇の日数は上記5日から除かれます。時間単位の年次有給休暇を付与するためには、事業場の労働者の過半数で組織する労働組合(かかる労働組合がない場合は労働者の過半数の代表者)との労使協定が必要になります(労働基準法39条7項、4項)。

6 就業規則を労働基準監督署に届け出ていますか?
常時10人以上の労働者(非正規労働者を含む)を使用する使用者は、就業規則を定め、事業場の労働者の過半数で組織する労働組合(かかる労働組合がない場合は労働者の過半数の代表者)の意見を聴取した上で、労働基準監督署に届け出る必要があります(労働基準法89条、90条1項)。

7 非正規労働者の待遇と正規労働者の待遇との相違は合理的ですか?
短時間労働者(パート・アルバイト等)・有期雇用労働者の待遇と通常の労働者の待遇との間で、①業務の内容及び責任の程度(「職務の内容」)、②職務の内容及び配置の変更の範囲並びに③その他の事情のうち、当該待遇の性質及び目的に照らして適切なものを考慮して不合理と認められる相違を設けることが禁止されます(「均衡待遇」)。また、職務の内容が通常の労働者と同一の短時間労働者・有期雇用労働者について、雇用の全期間を通じて職務の内容及び配置が通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されることが見込まれる場合は、短時間労働者・有期雇用労働者であることを理由とする待遇の差別的取扱が禁止されます(「均等待遇」)(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律8条、9条)。
均等待遇及び均衡待遇についての考え方については、「短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針」(厚生労働省告示430号)(https://jsite.mhlw.go.jp/yamagata-roudoukyoku/content/contents/000478586.pdf
)が参考になります。