法的支援:労務管理上のチェックポイント(その2)

2021.05.10

法的支援

今回は以下のポイントについて解説します。
① 雇入に際して労働条件を労働者に明示していますか(労働基準法15条1項)?
② 税金・社会保険料以外を労使協定によらずに賃金から控除していませんか(労働基準法24条1項)?
③ 36協定を締結して労働基準監督署に届け出ていますか(労働基準法36条1項)?

1 雇入に際して労働条件を労働者に明示していますか?
使用者は、労働契約締結に際して、以下の事項を労働者に明示しなければなりません。①ないし⑥(昇給を除く)については書面の交付(労働者が希望すればファクシミリ又は電子メールも可)で行う必要があります。⑦以下は使用者が定める場合に限ります(労働基準法15条1項)。
①契約期間、②期間雇用契約の更新基準、③就業場所及び従事すべき業務、④始業終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、シフト制をとる場合の就業時転換、⑤賃金(退職手当及び臨時の賃金を除く)の決定、計算及び支払の方法、締切り時期、支払時期、昇給、⑥退職(解雇事由を含む)、⑦退職手当支給対象労働者、退職手当の決定、計算及び支払の方法、退職手当の支払時期、⑧臨時の賃金(退職手当を除く)、賞与、労働基準法施行規則8条に定める精勤手当、勤続手当、奨励加給又は能率手当、最低賃金、⑨労働者に負担させるべき食費、作業用品等、⑩安全衛生、⑪職業訓練、⑫災害補償及び業務外傷病扶助、⑬表彰制裁、⑭休職

2 税金・社会保険料以外を労使協定によらずに賃金から控除していませんか?
税金・社会保険料のような法律に基づく場合を除き、(例えば社内預金・組合費・社宅費等を労働者に支払ってもらう目的で)賃金の一部を控除して支払うためには、事業場の労働者の過半数で組織する労働組合(かかる労働組合がない場合は労働者の過半数の代表者)との労使協定が必要になります(労働基準法24条1項)。

3 36協定を締結して労働基準監督署に届け出ていますか?
1日8時間又は週40時間(休憩時間を除く)を超えて労働させ又は法定休日(週1日又は4週で4日)に労働させるためには、事業場の労働者の過半数で組織する労働組合(かかる労働組合がない場合は労働者の過半数の代表者)との労使協定(いわゆる36協定)を締結して労働基準監督署に届け出る必要があります。「労働者」には管理職や非正規労働者を含みますが、管理職は「代表者」にはなれません(労働基準法36条1項)。

(*)関係書類の書式については、厚生労働省の「主要様式ダウンロードコーナー」(< https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudoujouken01/
>)や東京労働局の「様式集」(< https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/hourei_youshikishu/youshikishu_zenkoku.html
>)が参考になります。